高校卒業から留学するまでの短い間の大きな恋の思い出

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アネゴのお陰で…
仕事場の先輩の計らいでハチのお店に行くことになった。

先輩と2人でさりげなく通りすがりを装って
ハチのスニーカー屋を覗いてみた。
「何かかわいいのあるかな〜」
なんて不自然に装って。

「いらっしゃいませ〜。
ゆっくり見ていってくださいね〜。」


2人の怪しいお客に気づいたあたしの大好きな人の声が
背中から聞こえてきた。

…ドキドキ…

後ろを振り向くと夢にまでみたハチが
やっぱり夢にまでみた笑顔で立ってた。

話す準備はしてきたのに…

「ハッ…はあい…」

あたしと先輩の顔を順番に見てもう一度あたしの方に
目を向けたときハチが言ってくれた。

「お姉さんいつもうちの店の前通ってますよね?」

「いやぁ〜ほんとに見に来てくれてありがとうございます!」

いやん、覚えててくれてたよぉ〜!!

なんて心では叫びながら緊張感マックスのあたしは、
「先輩がスニーカー欲しいって言ってたんで付き添いで…」
全く心にもないことを言ってしまいましたΣ(T□T)
これじゃ、嫌々来たみたいじゃん…

「もう結構暑いのに外で呼び込みとか大変ですね〜」
なんて世間話をしながら名札に書いてある「戸田」の文字を確認。(この苗字は仮名です)
へぇ〜トダさんっていうんだ〜。

ちょっと話して名前を知っただけなのに
こんなにドキドキしてハチの間がちょっと縮まった気がしたんだ。

スニーカーの説明をしてるハチは楽しそうで自信に満ち溢れていた。
大好きだったハチがもっともっと大好きになって
もっとハチのいろんな事を知りたいって
もっと近づきたいって思ったんだ。

一緒に来てくれた先輩は、あの時のあたしよりも
9歳年上で面倒見がいいアネゴ肌な人だった。
…酒乱だけど…

「こんなのとか人気ありますよ〜
ピンクのラインがかわいいでしょ?」

「いやぁ〜そんなかわいいのもうおばさんやから無理〜。
っていうかお兄さんいくつなん?」


…さすが、先輩…アネゴ肌…
いとも簡単にハチ情報をゲットしていく…

結局、先輩は今回スニーカーを買わず
また見に来ますといってお店を出ました。

ハチの名前は、「戸田健太」さん。
健太と書いてタケトと読むそう。
年齢は、28歳で
大阪のキタに住んでて
ここのスニーカー屋の店長。
好きな物は、スニーカー、松屋の牛丼。
趣味は、スニーカー集めと仕事。
そして、独身・彼女なし

全部先輩のおかげだけど本当にハチとの距離が縮まった気がしたよ…。

先輩とスニーカー屋からの帰り道、
もっと積極的じゃやないと駄目だとどやされ…(;´д`)トホホ…
それでもハチと話せたからすごく幸せだったんだ。

でも、あたしにはこの時
自分があんなに積極的な行動にでるなんて
思いもしなかったんだ…。



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あたし始動!
覚悟しとけよ!

この言葉から勝手にはじまったあたしの猛アタックは、
今思えばストーカーの域に達していた気が…。

きっと半年という限られた時間と
自分に初めてやって来た本当の意味での初恋に
たぶんすごく焦ってたんだと思う…。

何でも結構勢いで出来ちゃう熱しやすいあたしは、
早速、新しいスニーカーが欲しいと言っていた仕事場の先輩を
うまく言いくるめてハチのスニーカー屋に行くことにした。
(もちろんこの先輩にはキチンとハチの事を話してました。)

先輩とハチに会いに(正式には先輩のスニーカーを見に)行くのが
決まった日は、仕事にも身が入らず緊張と期待で一杯だった。

どんなことを話そう…
あたしに挨拶してくれること覚えてるかな…
まず、名前が知りたい…
うまくノリよく話せたらご飯にでも…
でもちょっとあつかましいかなぁ…

そんなことばかり考えてた。

残っていたお客を締め出し(スミマセン…(^^;;)仕事もさっさと終えた。
スニーカー屋までの道のりで先輩とコソコソ計画を立てた。

とにかく名前と歳を聞いて顔を覚えてもらおう…。
欲を言えば名前を覚えてもらってメルアドも渡したい…。

スニーカー屋が遠くから見える場所まで来たときハチの姿を確認した。
今日もやっぱり元気に一生懸命仕事してた。

神様、ハチとうまく話せますように…!!


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初めて話した日から
初めてハチと言葉を交わしたあの日以来、
あたしの毎日の楽しみはスニーカー屋の前を通ることになった。

あの時なんてほんの少しだけ話しただけなのに
次の日スニーカー屋の前を通るとハチは、
いつもあたしの大好きな笑顔と元気な挨拶をくれた。

仕事に行く前に出会えたらその日は最高に仕事が楽しかった。
仕事前に会えなかったら帰りは会えるかなって心が弾んだ。
仕事の後、やっと会えたら明日もいい事あるかもって喜んだ。
仕事の後も前も出会えたら世界中で一番幸せ者だって勘違いした。

もうこの時のあたしは確信してたハチが大好きだって。
ハチにも大好きになって欲しいって。

だから、この時決めたんだ。
積極的に行こうって。
押して押して押しまくるって。

だってあたしには時間がないから…。

こうやって決めた日、ハチと挨拶を交わしながら
心の中でハチにこう言ったんだ。

「覚悟しとけよ!」
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初めての会話
ハチに呼び込みをしてもらう作戦が失敗した次の日も
30分早く家をでてハチのスニーカー屋に向かった。
(本当は、仕事に向かうんだけども…)

今日こそはハチがあたし自身に向かって話した声が聞いてみたい…。
それでもやっぱりスニーカー屋が近くになるにつれて
自分の足元しか見れなくなっていった。
スニーカー屋の一軒隣にあるミスタードーナツが見えると
心臓バクバク、やっぱり横断歩道を渡ろうか考え直したり…。

今までのあたしは恋にも異性にも人間関係にも
こんなに臆病になったことなんてないのに…。
好きになっても我慢できずにすぐ告白できちゃう人だったのに…。
でも、今までこんなに同じ人の事ばかり考えたときはなかった。
頭に思い浮かべるだけでドキドキすることなんてなかった。
こういうのが本当の恋なの…?
一度も話したことも名前も知らないのに?

自問自答してる間にもスニーカー屋は近くなる。
気がついたらもうミスタードーナツの前にいた。
そーっとスニーカー屋を見てみるとハチよりも背が高くて
ハチよりも若そうで痩せた今時っぽい店員が呼び込みしてた。

今日も会えなかったな…。
でもお店の中にいたら前通れば見えるよね。

深く深呼吸した後、あの時のあたしにとっては
大きな大きな第一歩を踏み出した。

「おねえさん!よかったら見ていってくださいよ!」

お店をチラっと覗いたのを勘違いしたのか
痩せた店員が私の前に回ってきて足止めした。
(ホストとか水商売のキャッチじゃないんだから…(;^ω^)

痩せた店員が何か話してるのを聞き流しながら
店の奥のレジを覗くとハチがいた。
お客さんとさわやかな笑顔で話してるハチがそこにいた。
やっぱりいい笑顔だな。
人を安心させて元気をくれる太陽みたいな笑顔。

スニーカーの前に広がる大きな公道も
痩せた店員の話し声も
どこかから聞こえてくる足音も
あたしとハチ以外のすべてを遮断した時間だった。

ハチが接客していたお客さんがこっちに歩いてくる。
ハチはお客さんの後ろからお店のロゴの入った袋をもってこっちに歩いてくる…。

それでもわたしの前の痩せた男との会話は終わらない…。

あまり大きくないお店がさらに狭く見えた。
もう、あの時のコンビニみたいに逃げたら駄目だ!!

「ではこちらが商品になります。ありがとうございました!」

あたしとハチの距離は1メートル以内。
初めて近くでみたハチの顔は、
遠くで見てたときよりももっともっとやさしそうで
自信で満ち溢れて輝いて見えたんだ。

「いらっしゃいませ!よかったら中はいって見て行って下さいねー」

これが初めてハチがキチンとあたしに向かって言った言葉だった。
どこでも聞くようなただの呼び込みの言葉でも
あたしにとっては今でも忘れることなんて出来ない大切な言葉になった。

「ごめんなさい。ちょっと仕事に行かないと行けないんで…ごにょごにょ…)」

「なんだぁ〜そおなの!残念!!」
(あなたには言ってません…爆)

「お仕事ですか?時間がないのに引き止めてしまってすみません!
よかったらまた今度覗きに来てくださいね。」


そう言ってあたしに向かって深くお辞儀をしてくれたハチは…
お辞儀をした後の笑顔は…
やっぱり誰よりも素敵でかっこよくて、魅力的で…。

この時、もっともっとハチの事知りたいって
もっともっとハチと話がしたいって
きっと、この人に恋してるんだって
ハチに対しての気持ちを強く確信した時だった。

ハチがあたしにくれた様な笑顔は恥ずかしくて出来ないけど…
それでもキチンとハチの目を見て、胸を張って応えたい。

心臓バクバクしながらも私は胸を張って言った。

「ハイ!また今度絶対来ますっ!!」
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偶然のコンビニ
びっくりした・・・
コンビニのドアを開けたら目の前でハチがレジに並んでたから。
思わずドアを離して外に逃げた。
ハチはあたしの事なんて何も知らないのに・・・。

コンビニの外で携帯耳に当てて話してるフリしか出来なかったけど
お店へ戻るハチの後姿を見送るしか出来なかったけど
本当は声かけてみたりしたかったけど
それでも遠くから眺めるよりはもっともっと100倍くらいは幸せだった。

スニーカー屋とコンビニを背中にお店へ向かった。
いっつもより仕事も100倍楽しかったんだ・・・。
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